インピンジメント症候群

インピンジメント症候群とは、肩の関節や周囲の組織が異常に衝突したり、挟まれたりすることで、肩に痛みや違和感を引き起こす病気です。

インピンジメントとは英語で、「衝突」「挟む」などの意味があります。

肩周りには筋肉・骨・靭帯・関節包・滑液包などの様々な組織があります。これらの組織が全てスムーズに動くことで、問題なく肩がスムーズに動きます。

ですが、筋肉のバランスが崩れたり、肩の痛みや肘の痛みなどをかばって変な動きをしたりしていると、肩関節で異常が起こります。この肩の異常で、肩を動かした際に筋肉や関節包、滑液包などが挟まれたり衝突したりすることがインピンジメント症候群です。

目次

症状

腕を挙げたり捻ったりした時に肩に引っかかり感や痛みが生じます。特に肩を動かした時に痛みが出る「動作時痛」が主な症状です。夜間や仰向けになった時に痛みが増すこともあります。また、筋力の低下や可動域の制限も起こることがあります。

インピンジメント症候群には「2種類」あります。

肩関節で骨に腱板(肩のインナーマッスル)と滑液包が衝突することを「肩峰下インピンジメント症候群(エクスターナルインピンジメント症候群)」と言い、肩関節で関節唇と呼ばれる肩の車止めの役割を果たす組織が挟まれることを「インターナルインピンジメント症候群」と言います。

原因

主な原因は、肩の柔軟性の悪さにあります。肩の動きは、肩甲骨や背骨などが連動して起こりますが、筋肉のバランスが崩れたり、姿勢が悪かったり、疲労や加齢などの影響で動きがスムーズでなくなると、インピンジメントを起こしやすくなります。骨の形態や関節の不安定性なども原因になることがあります。

また、下半身の異常でも肩の動きは悪くなります。右手でボールを投げる時に、足のむくみ重心を左や右に過度に傾けて投げると肩の動きは必ずおかしくなります。

この為、肩の動きが悪いだけでは原因の特定が難しいとも言えます。

治療

インピンジメント症候群の治療方法としては、RICE処置することが大切です。

R(rest)・・・安静

I(ice)・・・冷却(アイシング)

C(compression)・・・圧迫

E(elevation)・・・挙上

ただ、慢性化した痛みであればそこまで炎症が強くない場合もあります。その場合はこのような処置よりもリハビリの方が重要と言えます。

動きが悪い場合は、姿勢も崩れています。

姿勢は動作の始まりの体勢ですので、姿勢が崩れれば必ず動きも悪くなります。インピンジメント症候群になりやすい姿勢は、猫背や巻き肩の姿勢です。

姿勢が崩れる場合は、筋肉のバランスが崩れています。筋肉のバランスは、簡単に言えば弱い筋肉と硬い筋肉ができることで崩れます。

弱い筋肉を鍛え硬い筋肉をストレッチしていけばこの筋肉のバランスは改善します。

ただし、「このトレーニング、ストレッチをすれば治る」ということはありません。

個人のインピンジメント症候群の原因をしっかり分析し、その状態に合わせたトレーニングやストレッチが必要になります。

予防

✳︎ 肩の動きを改善するために、肩甲骨や背骨などの関連する部位のストレッチや筋力トレーニングを行うこと。特に、小胸筋、肩関節後面、僧帽筋上部などの筋肉の柔軟性を高めるストレッチが効果的。

✳︎ 肩関節を安定させるために、インナーマッスルや前鋸筋、僧帽筋下部などの筋肉の筋力を強化するトレーニングを行うこと。

✳︎ 肩を挙げる動作を頻繁に行うスポーツや職業をしている場合は、適切な運動量の調節や疲労のケアを行うこと。無理な動作やフォームは避ける。

✳︎ 姿勢の悪さを改善するために、猫背姿勢を正すこと。胸の筋肉が硬くなると肩甲骨の動きが悪くなり、肩関節の可動域が減少する。

以上のことを実践することで、インピンジメント症候群の予防になります。

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