腰椎圧迫骨折(骨粗鬆症)

今回は腰椎圧迫骨折について書いていこうと思います。

腰椎圧迫骨折は、脊椎圧迫骨折の一種で、腰椎の椎体という部分に外から圧力がかかって起きる骨折のことをいいます。

脊椎は、頸椎、胸椎、腰椎、仙椎と複数のパーツからなっています。

このうち、腰椎の椎体が外部から圧迫されて潰れてしまうのが腰椎圧迫骨折です。腰椎圧迫骨折は腰椎と胸椎の間の胸腰椎移行部で起こることが多く、体を動かしたときに激しい腰の痛みが現れます。安静にしているときはそれほど痛みを感じないのが特徴です。

目次

症状

腰椎圧迫骨折の主な症状として挙げられるのが、強い腰の痛みです。特に寝返りするときや、起き上がるときなどといった体を動かす際に激しい痛みが見られるのが特徴といえます。

腰椎圧迫骨折した部分は突起が飛び出したような状態になります。その飛び出した部分を叩くとさらに痛みが増します。また、潰れてしまった椎体が神経を圧迫する下肢の痛みしびれなどの症状が現れることもあります。

脊椎は複数の骨から形成されているため、場合によっては複数箇所で圧迫骨折が生じることもあります。複数箇所の圧迫骨折のために背中が丸くなり身長が低くなる場合もあります。

腰椎圧迫骨折が引き起こす症状

腰椎圧迫骨折は、病状の悪化や後遺症が残るなど様々な症状を引き起こすことがあります。
腰椎圧迫骨折を治療せずに放置してしまうと、骨が曲がることや変形してしまうことがあるのですが、これにより背中が丸くなると胸を圧迫して肺活量が減少する恐れがあり、身体機能の低下につながることも考えられます。

また、胃が圧迫されることによって食欲の低下や、逆流性食道炎のような内臓の病気につながることも考えられます。
こうした様々な症状が現れることで日々の活動量が減っていくことも多く、それによってさらなる骨密度の低下筋力の低下につながり、最終的には寝たきり状態になってしまうといったリスクが高まるため気を付けなければなりません。

原因

高齢者の腰椎圧迫骨折は、骨粗しょう症が原因であることが多いです。骨粗しょう症とは、加齢や生活習慣などによって骨密度が低下して骨が折れやすくなっている状態のことをいいます。骨粗しょう症は閉経後のホルモンバランスも影響していると言われており、特に女性が発症するケースが多くあります。

腰椎圧迫骨折は外部から圧力が加わることで引き起こされますが、骨粗しょう症の場合は骨がもろくなっているため、軽い力が加わっただけでも骨折してしまいます。

そのため、何かの拍子で尻もちをつく、転倒してしまうなどの大きな衝撃が加わったときや、せきやくしゃみ、重いものを持ち上げたときなど、何気ない日常生活動作の中でも腰椎圧迫骨折を引き起こすことがあります。
その他、転落事故や交通事故などによる外傷、腫瘍の転移などが原因となって生じることもあります。

治療法

保存療法

ギプスやコルセットを装着し腰部を固定し、安静にして痛みを和らげる治療法のことです。比較的症状が軽い場合には、保存療法を行うのが一般的です。特に高齢者の場合は、体力の消耗や負担が少ないという理由からも保存療法が行われることが多くなっています。
保存療法は、骨折した部分が自然に固まるのを待つ方法なので潰れた椎体が元の形に戻るわけではないのですが、安静にすることで痛みを軽減し、骨の変形を防ぐことができます。

痛みが和らぐまでの期間には個人差がありますが、日々安静を心がけて過ごすことで1か月~数か月程度すると痛みが軽減されると言われています。コルセット等で固定するだけでなく、炎症を抑えるための湿布の使用や、鎮痛剤や血行改善薬などの内服薬を服用して経過を見ることもあります。

手術療法

手術療法は、保存療法をしばらく行っても症状が緩和されない場合や、脊椎に変形が見られるときや腫瘍性の圧迫骨折の場合に行われます。

手術にもいくつか種類がありますが、その中でも比較的身体への負担が少ないと言われるのが、バルーン椎体形成術(BKP)です。バルーン椎体形成術(BKP)は全身麻酔をして行う1時間程度の手術で、背中に1cm程度の針穴を2か所開け、そこからバルーンを用いて潰れた椎体に空間を作り、そこにセメントを注入して骨折前の状態に近づけます。早期に痛みを和らげるだけでなく、QOL(生活の質)の向上も期待できる手術と言われています。

椎体を3箇所以上を圧迫骨折しているなど重症の場合は、ボルトなどを使って骨を固定する後方進入椎体固定術(TLIF/PLIF)などの手術が行われます。

予防

腰椎圧迫骨折にならないためには、骨粗しょう症の予防をすることです。

日頃から適度な運動を行い、丈夫な骨を保つためにも日頃から栄養バランスの良い食事を心がけましょう。骨を形成するカルシウムを摂取するために、牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品を食事に適量取り入れましょう。

鮭やいわしなどの魚類、キノコ類などに含まれるビタミンDは、カルシウムの吸収を助けるので併せて摂取すると効果的です。ビタミンDは太陽の光を浴びると体内でつくりだされるので、日光浴も骨粗しょう症予防におすすめです。

また、日常生活における歩行や寝返りなど何気ない動作から圧迫骨折を引き起こす恐れもあります。住み慣れた家でも小さな段差につまずくことや、スリッパを履いていて滑るなどして、転倒して圧迫骨折を引き起こす恐れもあるので注意しましょう。

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