腰椎椎間板ヘルニア

今回は腰椎椎間板ヘルニアについて書いていこうと思います。

腰椎椎間板ヘルニアとは、腰椎と腰椎の間にある椎間板という柔らかい組織が変性して、突出した一部が腰椎の中を走行している神経を圧迫することで発症する病気です。

目次

腰椎椎間板ヘルニアの症状

腰や下肢の痛み、筋力低下など

多くは腰やお尻に痛みが生じ、突出した椎間板に圧迫された神経側の太ももやふくらはぎに放散するような痺れと痛みが引き起こされます。痛みや痺れの程度は神経の圧迫の強さなどによって異なりますが、非常に強いケースも多く、歩行や睡眠に支障をきたすケースも少なくありません。安静にしていると2〜3週間ほどで症状が改善していくことが多いとされています。

しかし、神経の圧迫が強い場合は自然に症状が改善することは少なく、脚に力が入りにくくなる、筋力が低下するといった症状が引き起こされ、痛みを避けるために不自然な体勢を続けることで脊椎が横に曲がった状態(疼痛性側弯)になることもあります。

また、突出した椎間板が大きな場合は排便や排尿などをつかさどる馬尾神経と呼ばれる太い神経が圧迫され、頻尿残尿感尿閉便失禁などの症状を引き起こすことがあります。

腰椎椎間板ヘルニアの原因

椎間板が突出する原因は多岐にわたりますが、椎間板の組織は20歳代から徐々に変性していくことが分かっており、このような加齢による変性の結果として椎間板の外郭(線維輪)の断裂が生じ、椎間板の中身(髄核ずいかく)がはみ出すことが主な原因とされています。そのほか、腰に負担がかかるような姿勢での長期間の作業や、重い荷物の持ち運びなども発症の要因として知られており、喫煙が発症率を上昇させるとの報告もあります。

腰椎椎間板ヘルニアの手術時には、神経を包んでいる硬膜と呼ばれる膜を切開し開きます。手術時に硬膜を触ってみると、喫煙習慣がある方は硬膜に弾力がない傾向にあります。このような硬膜と同じように、椎間板も喫煙によって変性しやすくなることが考えられます。

腰椎椎間板ヘルニアの診断

痛みなどの症状の確認

腰椎椎間板ヘルニアの診断は、患者さんを診察することから始めます。立つことができる状態であれば立っていただき、背中を後ろからとんとんと叩き、体を前に曲げていただきます。

立ったままの状態で、前に曲げてもらったり後ろに反ってもらったり、右や左に反ってもらったりしながら、痛みなどの症状を確認していきます。さらに、腹ばいになった状態で、痛みなどの症状が現れないか確認します。

下肢挙上試験(SLR)などによる検査

その後、仰向けになっていただき、下肢挙上試験(SLR)を行います。SLRは、膝を伸ばしたまま足を徐々に上げていく検査です。

足をまっすぐにした状態で徐々に上げていき、どこかで足にビリビリと感じる症状があれば腰椎椎間板ヘルニアを疑います。また、腱反射などによって下肢の感覚を確認したり、筋力の状態を確認したりしていきます。

他の病気を確認するためにレントゲン検査を

また、レントゲン検査を行います。ただし、レントゲンの画像からは腰椎椎間板ヘルニアの診断をすることはできません。ではなぜレントゲン検査を行うかというと、椎間板ヘルニア以外の病気が隠れていないか確認するためです。

たとえば、若い方であれば腰椎分離症、高齢の方であれば骨粗しょう症などの可能性がないかを確認するために行います。また、悪性腫瘍など重症化する可能性のある病気も、ある程度、レントゲン検査によって確認することが可能です。

確定診断のためにはMRI

最終的に腰椎椎間板ヘルニアの診断のためには、MRI*を行う必要があります。腰椎椎間板ヘルニアの診断において、MRIは、診断の正確性が高いといわれています。MRIによって、ヘルニアの形態がよくわかり、どこにどれくらいの大きさのヘルニアがあるか確認することが可能です。

腰椎椎間板ヘルニアの治療

腰椎椎間板ヘルニアは、約8割が腰を安静にし、コルセット装着マッサージなどの理学的な治療を行うことで自然に回復していきます。しかし、痛みやしびれが強い場合は痛み止めや筋弛緩剤、ビタミンB剤などの飲み薬を使用したり、神経に局所麻酔薬を注射して痛みを緩和させる神経ブロック注射が行われたりすることも少なくありません。

また、これらの治療を行っても長期間にわたって症状が続き日常生活に支障をきたしている場合や、排尿・排便障害などの強い神経症状が出ている場合は、突出した椎間板の組織を摘出する手術や不安定になった腰椎を固定する手術が必要になります。

最近では、椎間板内酵素注入療法も普及しています。この方法は椎間板の中身である髄核に特殊な酵素を注入することにより、椎間板の突出を減少させる方法です。

腰椎椎間板ヘルニアの予防法

腰椎椎間板ヘルニアの大きな原因は加齢ですが、姿勢の悪さや腰に負担がかかる長時間の作業なども発症の原因になります。そのため、発症を予防するには腰に負担がかかる作業は避け正しい姿勢を保持することが大切です。

また適度な運動を習慣づけて、体幹や四肢の筋力柔軟性を保つことも効果があります。

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